ささにゃんのにゃんともしがたい

日本語の文章を書く練習です。

読書感想文 「世界は密室でできている。」

舞城王太郎の「世界は密室でできている。」についての読書感想文です。

雑なあらすじ。
僕とルンババは福井の隣同士の友達。
中三の修学旅行で福井から東京へ出かけた僕は変な姉妹とひょんなことから知り合いになる。
それから姉妹が変な事件に巻き込まれて、私たち一体どうなっちゃうの~??僕とルンババと姉妹の密室殺人青春小説!

以下ネタバレ含みます。

 

本作では密室殺人がこれでもかというほどに現れる。
ルンババの姉である涼ちゃんの生活環境という密室から始まり、一家殺人密室事件、密室殺人事件、謎の男女複数人の密室殺人事件、その密室殺人事件現場の脇でも密室殺人事件、おまけ程度に最初にルンババが解決する殺人事件(これは密室ではないけど)。
どれも読者が解けるようなミステリではなく、あくまでも小話のような感じ。
それを名探偵ルンババがたちどころに解決していく。何もかもをわかっているルンババは警察にも指示を与える中学生。こんなやついるのかという非日常具合。
推理物として読むと不満が残るという感想をよく見るけどこの小説は推理物の小説では決してない。
これら推理パートはあくまでギミックなのだ。密室はメタファーなのだ。世界は密室でできているんだからね。そりゃいたるところにあるよね。なんのメタファーかはわからないけど。

さて、最初の章と最後の章が良いと評されている書評をいくつか見たけど僕もそう思う。
難事件を次々解決していくルンババが自分の生きる環境、親子関係の密室に閉じ込められ、最後は友人である僕とエノキの助けが必要だったという話。
一人で何でも解決してたルンババにも解決できない密室事件があったというワケですな。
そして最後に殺人犯の書いた四コマ漫画を思い出す。「誰かの人生を漫画や小説に仕上げることが、ひょっとしたらできるのかも知れない」という一文が僕によって語られるけど、これはもしかしたら舞城の気持ちなのかもしれないねとふと思いました。

あと最後に関係ないけど「お風呂で熱いと思うお湯の温度が口に入れてみると全然ぬるい」という話が一瞬出てくるんだけど、みそ汁を触ると熱いと思うことはあってもお風呂のお湯を口に入れたことはないなあと思ってこういうことって人生で沢山あるんやろうなと思いました。

おわり。